der Wannsee
ここ2週間ほど天気があまり冴えず、
肌寒い日が続いたのだが、
この週末は打って変わって夏のような陽気。
強い日射しが降り注ぎ、
日中の気温は30度に達する。
特に予定は何もなかったのだけれど、
この天気でどこへも行かないのは勿体ないというわけで、
電車に乗って Wannsee(ヴァンゼー)へ出かけた。

Wannsee は、ベルリンの南西部、
ポツダムとの境界に横たわる湖。
ベルリンの中心部からは電車で30分ほどだが、
ここが本当にベルリンかと思うくらい、
全く違った空気が流れている。

みんなゆったりのんびりと、
久々の陽気を楽しんでいる。
ほんとにいい雰囲気だ。
湖畔を散歩したり、本を読んだりした後、
適当にバスに乗って湖の周りを回ってみる。
湖は森に囲まれていて、
バスは森の中の道路をゆっくりと走る。
ビーチがあるというので、降りてみた。
そんなこともあろうかと、
水着をちゃんと鞄に入れてきたのだ。
我ながらなかなか準備がいい。

バス道路から湖の方へ、
森の中の歩道を歩いていく。
フライブルクから修学旅行で来たという
ドイツの高校生たちがいて、少し話をした。
フライブルクというと、ドイツの西南端。
ベルリンから一番遠いところだ。

もともと砂浜だったのか、
それともどこかから砂を運んできて作ったのか、
とにかく綺麗な砂のビーチ。
開放的で、いい雰囲気だ。
さあ僕も泳ぐぞう、と、
コインロッカーを探してうろうろしていると、
僕の行く少し前を、全裸のおじさんが横切った。
あわわ、何だ何だ、変態か、
と思ってふと砂浜の方に目をやると、
何とそこには、全裸の人がごろごろ寝転がったり、
ぶらぶら歩き回ったりしているではないか。
あまりに自然で気がつかなかったのだけれど、
男も女も、みんなすっぽんぽんだ。
どうも僕は、気がつかないうちに、
ビーチの右端に設けられた、
ヌーディスト区域に入っていたらしい。
そう思って見ると確かに砂浜には、
一般区域からの視線を遮る柵が立てられていて、
ちょっとした注意書きが掲げられているのだけれど、
しかし空間的にはほとんど継続した砂浜。
僕はヌーディスト・ビーチというものは、
もっと何というか、日常世界とは隔離された、
特別な場所だろうと想像していたのだけれど、
これだけ「日常的に」存在されてしまうと、
こちらとしても「ははあ、そうなのねえ」と、
日常的に受け入れてしまわざるをえない。
そうか、そういうもんだったのか。
僕もその気になれば全部脱いで、
そこへ飛び込むこともできたわけだけれど、
何というかさすがに心の準備をしてきていなかったので、
今日はそそくさと一般ゾーンに退散。
でも、気持ちよさそうだったなあ。
湖の水はあまり綺麗とは言えないけれど、
それでも泳げないほど汚れてはいなかった。
そもそもドイツの人はあまり泳がないのか、
砂浜には人がたくさんいるのに、
湖の方はがらがらで、
気持ちよく泳ぐことができた。
それにしても都心から30分程度で
こんな別世界に来られるなんて。
ベルリンはやっぱり、すごい。